性感染症(STD)
おりものの異変を敏感に感じとる

  STDは性行為で感染する病気の総称です。10代・20代を中心に
増加傾向にあり、最近では約100万人の感染者がいると推測されています。
感染したらパートナーも一緒に治療を受けるのが原則です。
感染予防には、性行為の時には必ずコンドームを使用することが大切です。


カンジダ膣炎

『カンジダ・アルビカンス』というカビの一種が膣内・外陰部に繁殖して起こる病気です。
過労や妊娠などで免疫力が落ちている時や抗生物質の乱用時などが原因で発病します。
性行為で感染する場合はパートナーが無症状なので、気付かないうちに感染してしまいます。
妊娠中に感染しやすいので、治療しておかないと赤ちゃんに産道感染させてしまいます。
発病すると、膣内にカッティングチーズのような、もしくは粥状の白いおりものが大量に発生し、
外陰部や膣周辺に灼熱感を伴う強いかゆみに襲われます。外陰部も赤くただれて腫脹し、
排尿痛も伴うことがあります。激しい掻痒感を感じたら、かきむしらずに受診しましょう。
治療は膣錠の使用や、外陰部に軟膏を塗ることで治りますが、再発が多い病気です。


トリコモナス膣炎

『トリコモナス原虫』という寄生虫による性行為感染症です。この寄生虫は男性の
前立腺や精嚢、尿道に寄生していることが多く、性行為で女性に感染することが殆どです。
感染力が強いので、性行為以外に便座や浴室の椅子・床からも感染することがあります。
感染すると外陰部が赤くただれて滲みるような痛みを生じ、黄色や緑がかった泡沫状の
悪臭の強いおりものが出てきます。カンジダ膣炎ほどではありませんが強いかゆみもあり、
性交痛や排尿痛も伴うことが多いです。治療は膣錠を10日間使って治します。
治療中は感染を広げないために公衆トイレやプール、温浴施設などの利用は厳禁です。


クラミジア感染症

『クラミジア・トラコマチス』という微生物による性感染症です。世界でも日本でも最も多い
STDで、不妊症の原因にもなります。性行為によって膣から子宮に感染しますが、
最近ではオーラルセックスによって感染し、喉の病気を引き起こすケースも増えています。
感染しても殆どの人は無症状ですので、感染に気づかないまま経過しやすい病気です。
しかし中には感染後、約3〜10日間の潜伏期間のあとに、黄色いおりものや
多量の水溶性のおりものと、時には軽い生理痛のような痛みで気づく場合もあります。
クラミジアは感染後に本人の自覚がないうちに子宮頸管内を通過し卵管に入り、
骨盤内に大きく広がって骨盤内感染症を引き起こし、不妊症となる場合があります。
多量の水溶性おりものなどいつもと違う感じであったり、発熱や性交痛があったり、
何より下腹部全体の激痛がある場合は骨盤内感染症が疑われるので早めに受診しましょう。
診断は子宮の入り口の細胞を軽く綿棒でこするだけの簡単な検査です。 
治療は適切な抗菌剤を約2週間程服用すると治ります。パートナーも一緒に治療しましょう。


淋病

淋菌を病原菌とする行為感染症です。淋菌は尿道や子宮頚管の粘膜を好みますが、
最近ではオーラルセックスによって女性の喉からも検出されることが増えてきています。
淋菌は感染者が使用したタオル類や、浴室の床などからも感染する可能性があります。
感染後2日〜7日間の潜伏期間を経て、黄色い膿状のおりものが出たり、排尿時痛もあり、
クラミジア感染とよく似ています。(クラミジアと淋病の両方同時にかかることもあります)。
女性の場合は症状が軽い為、感染した事に気づきにくいですが、パートナーは自覚症状
(ペニスからのうみ・排尿時の痛み等)が出やすいので、それで気づくことが多い病気です。
放置しておくと、淋菌性膣炎・子宮内膜炎・卵管炎になり、発熱や激しい下腹部痛が現れます。
治療は適切な抗菌剤を1〜2週間、服用すると治ります。


ヘルペス感染症

ウィルス性(単純ヘルペス・ウィルス)の性行為感染症です。
感染後、2日〜7日間の潜伏期間のあとに、外性器に水泡(水ぶくれ)ができ、
痛み・発熱の症状が出てきます。水泡が破れると潰瘍が左右対称に多発し、
それが2週間ほど続いた後になくなります。局所にはっきりした病変が無い時でも
性器からウィルスを排出してしまい、パートナーに感染する可能性があります。
重症では、少し触れただけでも灼熱感を伴う激しい痛みを生じるので、排尿が困難に
なったり、太腿の付け根のリンパ腺が腫れたり、高熱が出ることもあります。
特徴として、症状が消えても体力が落ちるとまた再発することがあります。
治療は適切な抗生物質と軟膏との併用で、3〜4週間で治りますが、完治させないと
何度も再発しやすい病気ですので、難治例では1年間継続して内服する場合もあります。


尖圭コンジローマ

『ヒトパピローマウィルス』による性行為感染症です。イボ状のものが外陰部周囲や、
肛門周辺、膣口、子宮膣部にできます。イボは米粒・小豆粒くらいの大きさで、
にわとりの鶏冠のようになっており、増えていくとカリフラワー状になります。
イボ自体は柔らかく、崩れやすいのが特徴で、癌化することはありません。
感染後、3週間〜3ヶ月後に発症しますが、初期には多少の不快感程度で痛みはありません。
やがてイボ状のものが徐々に増えてカリフラワー状になり、外陰部全体が腫れあがります。
そうなると、痒み・発熱・排尿痛・性交痛・歩行時の痛みなどが症状として出てきます。
治療は軟膏塗布や手術を必要としますが、再発することもあり数回の治療が必要となります。


外陰炎

STDではありませんが、細菌の繁殖で外陰部におきる炎症です。下着の締め付けや
生理用ナプキンのかぶれなどが原因で、外陰部に激しい痒みや発疹が生じます。
かきこわすと外陰部周囲にも炎症が波及するので、排尿痛や性交痛も伴います。
抗生剤で治療します。



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