甲状腺は、喉ぼとけのすぐ下にあり、気管に張り付いた小さな内分泌器官です。 ヨードを材料に、脳の指令を受けて甲状腺ホルモンを作り、体内に分泌しています。 甲状腺ホルモンには、体の発育を促進したり、新陳代謝を活発にする作用があります。 つまり、人間が活動するための強力なスパイスであり、元気の源になるホルモンです。 甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても正常な日常生活が営めなくなります。 当院で実施する甲状腺検査 @視触診・・・・腫れの有無、硬さ、左右対象かどうかなどをチェックします。 A血液検査・・・・甲状腺関連ホルモンや各種自己抗体値の測定をします。 B甲状腺エコー・・・・超音波装置を使って大きさや腫瘍の有無を診断します。 甲状腺が腫れる病気とその特徴 ★甲状腺全体が腫脹 @バセドウ病 ・甲状腺機能亢進症(ホルモンが出すぎる病気)の代表疾患。 ・20〜30歳代に多く、女性が80%を占める。 ・薬物療法で改善できるが約25%は高齢とともに橋本病へ移行。 ・機能亢進のまま妊娠すると挙児が心不全になることがある。 ・控えるべき食材・・・・アルコール、カフェイン、唐辛子 A橋本病 ・甲状腺機能低下症(ホルモンが足りない病気)の代表疾患。 ・40〜50歳代に多く、女性が95%を占める。 ・薬物療法で改善できるが半永久的に内服の継続が必要なことが多い。 ・機能低下のままで妊娠すると挙児の流産や発育不全に陥りやすい。 ・控えるべき食材・・・・海藻、ブロッコリー、大豆(サポニンによる合成阻害) B単純性甲状腺腫 ・甲状腺は腫れるが、ホルモン値には異常がない。 ・治療は不要だが、バセドウ病や橋本病に変化することもあり。 ・定期検査で経過を観察する。 ★甲状腺の一部が腫脹 @亜急性甲状腺炎 ・一過性の甲状腺の炎症。腫脹部を触ると強い痛みがある。 ・薬物療法での治癒率が非常に高く、再発することはまれである。 ★甲状腺に腫瘍ができる @良性腫瘍 ・甲状腺に発生する腫瘍の80%は良性である。 ・自覚症状に乏しくエコー検査で発見されることが多い。 A悪性腫瘍(甲状腺癌) ・初期は自覚症状に乏しくエコー検査で発見されることが多い。 ・甲状腺癌の多くは比較的進行が遅いので早期発見なら完治する。 |