冷え症
冷えは万病の元

 
冷えの辛さは、冷えを感じない人にはとかく理解されにくいもの

現代社会では女性の半数以上が「冷え」で悩んでいると言われてますが、
その数の多さに対し、社会全体の理解度はまだまだ低いと考えます。
軽視されることが多いため、冷え症状に苦しんでいるご本人も
我慢するのが当たり前と思い込んでいるケースが多いようです。

「冷え症」は女性にとって万病のもと

様々な不調のスパイラルは冷えから始まります。




健康で快適な日常生活を過ごすためにも、
日頃からの服装や食事の工夫、漢方薬で早めの体質改善が必要です。


q&a
Q 先日、かかりつけの医院で手足の冷えで困っていることを相談したら
「冷え症は病気じゃないから」と一蹴されました。どうしたらいいでしょうか?

A 「足が冷えて熟睡できない」「コタツから出られない」「携帯用カイロが
手放せない」「手足が1年中冷たくてすぐにしもやけになる」など、
冷えの症状でお悩みの女性は年々増える一方と言われています。
真冬の症状と思われがちですが、最近では季節に関係なく一年中
冷えで困っている方が多く、むしろ真夏に悪化するケースも増えてきました。
冷房のよくきいた職場で 長時間デスクワークを強いられる女性の中には
冷えのみならず痛みを訴えられる方も珍しくありません。
ところが、このような辛い症状を抱えて病院を受診しても満足に診てもらえる
ことは少なく、軽視されがちです。何故なら西洋医学には「冷え症」という
概念が存在せず、これといった治療法もないからです。
冷え症の治療は東洋医学の独壇場で漢方をはじめ様々な養生法があります。
漢方薬に詳しい医療機関への受診をお勧めいたします。

Q 冷え症と低体温症はどこが違うのでしょうか?

A 体内の熱源は筋肉と胃腸や肝臓などのお腹の内臓が司っています。
内臓や筋肉が作り出した熱を血液が全身の隅々まで循環して運びます。
この基本システムを調節しているのが自律神経です。興奮や緊張で
交感神経が作動すると筋肉や脂肪組織で熱が作られ、またリラックス状態で
副交感神経が優位になると、末梢の血管が広がって手足が温かくなります。
つまり熱を作るのは交感神経、熱を巡らせるのは副交感神経が担っています。
自律神経が正常に機能していれば、就寝前は手足がポカポカしてくるものです。
実は女性にはもうひとつ体温調節システムが備わっています。それは
排卵日から生理前の時期に上昇してくる黄体ホルモン(プロゲステロン)です。
黄体ホルモンは卵子が子宮で育ちやすい環境を作るために分泌されるので、
この期間は体温も0.5℃程度高くなります。妊娠中ではこの黄体ホルモンが
常に分泌されていますので、体はいつもポカポカしている感じになります。
低体温症は熱量不足や自律神経の機能低下で平熱が36℃以下にある
客観的な病態なのに対し、冷え症はあくまでも主観的な要素が強い病態です。
背景には共通点も多いため明確な区別はされませんが、どちらかと言えば
低体温症は熱量不足による西洋的な病名、冷え症は巡りが悪いことによる
東洋的な病名と言えます。

Q 私は平熱が35℃で、36℃にもなると熱っぽく感じます。異常でしょうか?

A 体温は日内変動があり、朝よりも夕方のほうが0.5℃くらい高くなります。
平熱は起床後3〜5時間目の体温のことを言います。本来、女性にとって
健康と美容のために必要な理想的平熱は36.5℃〜37.0℃くらいなのです。
低体温症では冷え症だけでなく便秘、頭痛、肩こり、うつなどにもなりやすく、
美容的にも太りやすい体質になったり、シミやくすみなどのお肌のトラブルも
出やすくなります。とりわけ低体温の最大の問題点は免疫力の低下です。
風邪を引きやすく治りにくいなどの日常的な抵抗力の低下だけでなく、 
癌の発生リスクが上昇します。体内の免疫細胞の働きは体温が1℃下がると
30%低下すると言われており、平熱が35℃台では癌細胞が増殖しやすい環境
ですので、ぜひとも改善の必要性があります。改善のポイントは次の3つです。
@運動 → エクササイズやストレッチなどで定期的に筋肉を使って熱を産生
A睡眠 → 良質な睡眠は自律神経のバランスを安定させる
B入浴 → 熱めの湯船につかって就寝前に充分、体を温める

Q 私は常々足の冷えで悩んでいますが、最近では足のむくみでも困っています。
特に会社からの帰宅時はパンプスがきつくなり痛くて歩きづらくなります。
そもそもどうして足は夜にむくみやすくなるのでしょうか?

A 夜に足のむくみがひどくなるのは、夕方頃から日中の筋肉の疲労により
重力に逆らって心臓に血液を送り戻す力が弱くなってくるためです。
40代以降になると、足のむくみは更にひどくなる傾向があります。
これは運動不足で筋力が年齢とともにどんどん衰えてくることや、
皮膚のハリがなくなることで皮下組織の圧力が弱まり、体液をうまく静脈内へ
押し戻せなくなることが原因と考えられています。簡単な対処法としては、
休憩時間に適宜、脚を水平に上げて休ませることが、一番効果的です。
ただし、片足だけだったり、朝になってもむくみが解消してない場合は
静脈瘤や静脈血栓症、リンパ浮腫の可能性が否定できません。
また、両側性でも冷えの強いむくみの場合は甲状腺ホルモンの異常が
原因のこともありますので、早めに医療機関を受診しましょう。


Q 冷え症を改善したいのですが、生活習慣のポイントについて教えてください。

A 冷え症を助長する好ましくないライフスタイルはたくさんあります。
@食事:朝を抜いたり夜遅く摂る、ダイエットによる蛋白質不足、スナック類が好き
Aストレス:慢性的な緊張、イライラ、過食、不眠、リラックスタイムがない
B運動不足 C薄着 D夜更かし Eシャワーだけの入浴習慣
F環境:夏のエアコン、室内外の寒暖差が大きい暮らし、発汗後に着替えない
該当する生活習慣を見直すだけでも、冷えを感じにくい体質に変化するものです。

Q 冷え症の症状は年齢とともに変化するものでしょうか?

A 若い女性の方では四肢の末端の冷えが圧倒的に多くみられます。
特に20〜30代では手先や足先の冷えが中心ですが、
40歳前後になると、逆に手のひらや足の裏がほてってくる方も
増えてきます。温かくなるわけですから冷えは治ったと思いがちですが、
実はその場合にはお腹や膝が冷え始めていることが多いのです。
そして更年期近くになると「冷えのぼせ」という状態も多くみられます。
これは下半身、特に足首から先が冷たくなり、逆に上半身が
のぼせる状態をいいます。更に更年期以降になると冷えを感じる部位が
体の中心部に移ってくることも多くなります。深部体温の低下により
腹部の冷感や膀胱炎症状が多く見られるようになってきます。
この様に年齢と共に女性ホルモンも変化するため、症状も少しずつ
変わっていくことが多いのですが、いずれの世代でも共通している点は、
東洋医学の「水毒」という病態に基づくものが大部分だということです。
日本人の冷え症は、水分が停滞したり偏在によるものが多いため、
そこをうまく改善していかないと、ただ温めただけでは解決しないのです。

Q 冷え症には漢方薬がいいと聞きますが本当ですか?

A 東洋医学では「気」「血」「水」のそれぞれが過不足なくバランスがとれ、
スムーズに体を巡っている状態を健康な体と考えますので、
ここでは「自分の体が冷えている」という自覚症状をとても重要視します。
なぜなら冷えは体の働きのバランスが乱れた時に現れやすいからです。
先述しました様に西洋医学には「冷え症」という概念が存在せず
治療法も存在しません。ところが東洋医学では冷えをとても重要な病態
として捉え、改善に有効な漢方薬が数多く用意されています。
つまり 「冷え症」の治療は漢方薬が最も得意な分野の一つであり、
原因や体質に合うものを続ければ、8割以上の人に改善が見られます。

Q 「冷え症」に対して食事で気をつけることはありますか?

A 温め食材の代表は何と言ってもご存知「ショウガ」です。
毎日の食卓に色々な形で取り入れると効果は抜群です。
冷えの体質改善に日頃から積極的に取り入れたい食材は
@ 香味野菜(ショウガ、ニンニク、ネギ、ニラ)
A 辛み&スパイス(唐辛子、コショウ、キムチ、カレー粉)
B とろみ(片栗粉、薄力粉、もち米、おもち)
C 根菜(ゴボウ、ニンジン、レンコン、長芋、里芋)です。
食習慣としては、栄養バランスのとれた食事を、ある程度規則的に摂る
ことは言うまでもありませんが、特に「朝の一口」を大切にしましょう。
朝は体温や代謝が低く体がまだ眠っている状態なので、お茶や味噌汁、
スープなど温かいものを口にすることで体を目覚めさせてください。
食材については、暖地で採れる南国の果実や野菜は体を冷やし、
寒冷地で採れるものは体を温めます。下の表を参考にしてみてください。
  体を温める食べ物 体を冷やす食べ物
穀物 もち米 蕎麦、小麦
豆類 ソラマメ 豆腐
野菜類 タマネギ、ニンジン、ニラ、ネギ、ショウガ
ニンニク、シソ
タケノコ、トマト、キュウリ、ナス、レタス
ホウレン草
肉類 羊肉、鶏肉 馬肉、牛乳
魚介類 アジ、サバ、イワシ、エビ、タイ、フグ カニ、カキ、ハマグリ
果実類 桃、ザクロ、クルミ、栗 バナナ、マンゴー、梨、柿、スイカ
その他 黒砂糖、唐辛子、山椒、シナモン、紅茶 白砂糖、緑茶


Q 冷えきった体を、湯たんぽなどで効率よく温めるポイント
があったら教えてください。

A 真っ先に冷たくなった手先や足先を温めたくなるものですが、
実は末端だけを温めても、すぐに体幹部から冷たい血液が
次々と流れ込んでくるため、なかなか温まってくれません。
しっかりと体全体を短時間で効率よく冷えをとるためには
腰やお腹などの体幹部を中心に温めることが大切です。
手先の場合は二の腕の裏側を、足先の場合は太腿や足の
付け根を重点的に温めてください。また、入浴前に予め
体幹部を温めておくと入浴で満遍なく体が温まるので、
入浴後もポカポカした感じが長持ちしますのでお試しください。


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